2016年6月17日 (金)

おはようございます。昨日は日銀が現状維持を決め、黒田日銀総裁は記者会見で従来通りの達成見通しを示しました。「点検して躊躇なく」との発言がむなしく、日銀内部での追加緩和のハードルがかなり高いことが示されたと思われます。ドル/円は2014年8月以来の103円台ミドルまで下落、内閣府調査の本邦企業採算ベース(2015年)の103.20円に迫ったことで、警戒感と一応の達成感が出ていると思われます。英国民投票を一週間後に控えていることで、利益確定の買い戻しが優勢となると思われます。本日は買い戻し主体の動きになるのではないでしょうか。

■三極通貨(ドル、ユーロ、円)
東京時間はドル/円が105.983円、ユーロ/円が119.332円、ユーロ/ドルが1.12565ドルでオープン。リスクオフの動きが継続、全般的に円買いが強まる中で、日銀が金融政策を現状維持としたことから、ドル/円は105円割れ、ユーロ/円は117円割れと急激な円高が進みました。黒田日銀総裁の定例記者会見では、景気や物価見通しに対して従来通りの見通しを示し、「今後も毎回会合でリスク点検し必要なら躊躇なく追加緩和」と発言したものの、かえって追加緩和へのハードルが高いとみなされて、ドル/円は2014年8月以来の103.55円、ユーロ/円は2013年1月以来の116.94円まで下落しました。ユーロ/ドルは1.1294ドルまで堅調推移となりました。
ロンドン時間は欧州の株価が下落、英国世論調査で離脱派が勢いを増していることで、ユーロへの警戒からユーロ/ドルが1.1175ドル、ユーロ/円が116.51円まで下落しましたが、ドル/円は本邦政府・日銀への介入警戒もあり、やや円が売り戻されて114.40円付近まで戻しました。
NY時間は米消費者物価指数(CPI)が市場予想より小幅下振れ、新規失業保険申請件数が増加(悪化)したことなどで、ドル/円は103.83円まで下落、ユーロ/円は2012年12月以来の115.48円まで下落、ユーロ/ドルは英国でEU残留を訴えていた議員が殺害されたとのヘッドラインを受けて、1.1131ドルまで下落しました。その後は、米株価が持ち直したこともあり、リスクオフの流れがいったん収まり、ドル/円は114.30円付近、ユーロ/円は117.30円付近、ユーロ/ドルも1.1250ドル付近まで戻しました。クローズはドル/円が104.231円、ユーロ/ドルが1.12219ドル、ユーロ/円は117.000円。

■他通貨
ポンドは対円で150.50円、対ドルで1.41968ドルでオープン。日銀が現状維持を決めたことから円買いが進み、世論調査で離脱派が残留派を上回る結果となったこと、残留派の議員が殺害されたことなどから、NY時間にはポンド/円が2013年4月来の145.36円、ポンド/ドルが1.4011ドルまで下落しました。クローズにかけてはリスクオフの流れがやや緩んだことで、ポンド/円が148.50円、ポンド/ドルが1.42ドル台前半まで戻しました。英小売売上高が市場予想を上回ったことはほとんど材料視されず、英中銀(BoE)の現状維持は市場予想の範囲内だったことで混乱はありませんでした。クローズはポンド/円が148.011円、ポンド/ドルが1.41950ドル。
豪ドルは発表された新規雇用者数が市場予想を上回る1.79万人の増加となったk遠出、豪ドル/円が78.60円、豪ドル/米ドルが0.7433ドルまで一瞬買われる場面がありましたが日銀が金融政策を現状維持としたことから、豪ドル/円は75.56円、豪ドル/米ドルは0.73456ドルまで下落、ロンドン時間に76.80円、0.7370ドル付近まで戻す場面がありましたが、欧州株価の下落からNY時間には75.56円、0.7283ドルまで下落しました。米株価が反発したことでリスクオフが和らいだことからクローズにかけては下げ幅を縮小しました。クローズは豪ドル/円が76.730円、豪ドル/米ドルが0.73584ドル

■前日の主な指標結果と発言
・イングリッシュNZ財務相:NZにデフレのリスクは見られない
・NZ1-3月期GDP:前期比0.7% (予想0.5%)
・豪5月失業率:5.7% (予想5.7%)
・豪5月新規雇用者数:1.79万人 (予想1.50万人)
・日銀金融政策決定会合:現状維持 (予想:現状維持)
・黒田東彦日銀総裁:景気は基調としては緩やかな回復を続けている。物価2%程度達するのは2017年度中になるとみている。今後も毎回会合でリスク点検し必要なら躊躇なく追加緩和。
・英5月小売売上高:前月比0.9% (予想0.2%)
・英中銀金融政策委員会:現状維持 (予想:現状維持)
・米1-3月期経常収支:-1247億ドル (予想-1250億ドル)
・米新規失業保険申請件数:27.7万件 (予想27万件)
・米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数:4.7 (予想1.0)
・米5月消費者物価指数(CPI):前月比0.2% (予想0.3%)
・米NAHB住宅市場指数:60 (予想59)
・英中銀金融政策委員会議事要旨:0.50%の政策金利の据え置きを9対0で決定。資産買い入れプログラムの規模の維持を9対0で決定した

■為替

通貨ペア引値前日比前日比(%)
USD/JPY 104.231 -1.750 -1.65%
EUR/JPY 117.000 -2.330 -1.95%
GBP/JPY 148.011 -2.510 -1.67%
AUD/JPY 76.730 -1.770 -2.25%
NZD/JPY 73.383 -1.122 -1.51%
EUR/USD 1.12219 -0.00348 -0.31%
GBP/USD 1.41950 -0.00028 -0.02%
AUD/USD 0.73584 -0.00438 -0.59%
NZD/USD 0.70400 0.00110 0.16%

source: uedaharlowfx

■三極(ドル、ユーロ、円)の1時間足
FXChartsource:uedaharlowfx UH StandardChart
※チャート、文中およびクローズの為替レートは上田ハーローFXでの提示レート(Bid)です。

■株価

Index引値前日比
日経225 15434.14 -485.44
FTSE100(英) 5950.48 -16.32
DAX(独) 9550.47 -56.24
NYダウ(米) 17733.10 92.93
S&P500(米) 2077.99 6.49
NASDAQ(米) 4844.91 9.98

■金利

Country利回り前日比
米10年債 1.579 0.007
日本10年債 -0.195 -0.025
英10年債 1.110 -0.010
独10年債 -0.024 -0.014

■コモディティ価格

Commodities引値前日比
NY金(期近) 1298.40 10.10
NY原油(期近) 46.21 -1.80

source bloomberg.co.jp (株価、金利、コモディティ価格)

■本日の指標発表予定
FX経済指標17:00 ユーロ圏4月経常収支
FX経済指標20:45 ユーロ圏クーレECB理事講演
FX経済指標21:30 米国5月住宅着工件数 年率換算件数
FX経済指標21:30 米国5月建設許可件数 年率換算件数
FX経済指標21:30 カナダ5月消費者物価指数(CPI) m/m
FX経済指標00:00 ユーロ圏ドラギECB総裁講演
※m/m = 前月比、q/q = 前期比、y/y = 前年比

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2010年2月 3日 (水)

※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。

今月2月12日からカナダのバンクーバーで冬季オリンピックが開催される。日本の代表選手も現地入りするなど、巷もオリンピックムードになってきた。フィギュアスケートやモーグルなどメダルの獲得の期待が高い種目もあり、今年最初の大きなイベントとして楽しみである。

オリンピックといえば、発祥の地のギリシャの債務の問題が昨年12月ドバイ・ショック以降クローズアップされ、これがユーロを押し下げる要因となっている。

ギリシャの債務問題とはそもそも何かということになるが、ギリシャは1981年の2次拡大でEUに加盟、2001年のユーロ流通開始前から財政赤字には懸念があった。世界的な経済危機が発生する前までは年4%の高い成長率を誇っていたが、同時に財政赤字もGDP比で3~8%ほど増加していた。しかも、昨年10月にギリシャ政府から2008年の財政収支と債務のデータに誤りがあったとして、財政赤字の比率が7.7%と約2倍に修正されるなど、増大する赤字からギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が出てきたというものだ。

現在、公表されている最新の数字でも財政赤字のGDP比は12.7%に達しており、このままでは財政赤字は2010年以降もEUが定めた財政基盤の3%からはかけ離れたものとなり、ギリシャ政府は2012年までに3%を達成するとしているが、到底不可能な状況である。また、公的債務もGDP比100%を超え、EU加盟国の基準の60%も大きく上回っている。こうしたことを受け、格付け機関フィッチやS&Pは相次いでギリシャのソブリン格付けを「A-」から「BBB+」へと1段階引き下げた。金融市場では急速にデフォルトリスクが高まったことでCDSプロテクション(信用リスクを回避したい場合の保険のようなもの)が買われ、スプレッドも拡大している。

こうした現状を見て、1999年1月から導入され10年が経過したユーロが、財政規律の乱れから崩壊に向かうという根強い「崩壊論者」もいる。歴史をたどれば1958年の欧州経済共同体(EEC)から約半世紀の時間をかけて統一してきたユーロが簡単に崩壊に至るとは考えにくく、最悪の場合にはギリシャがEUから離脱といことになるのではないだろうか。ただ、この場合はユーロの信認が大きく揺らぐことに繋がると思われ、ユーロが低迷する可能性がある。

2010年1月27日 (水)

※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。

先週のコラムで書いた「金融危機責任手数料」の導入に加え、オバマ米大統領は大手金融機関への規制の案を昨日(21日)発表した。これを受けた米株式市場は金融セクタが主導する形で下落した。

オバマ米大統領は
「自己勘定トレーディング事業、すべての銀行に禁止」
「金融機関の規模について新たな制限を提案」
「銀行はヘッジファンドの所有、投資をしてはならない」
「金融機関の無責任が新規制設定の一因」
「米国には危機回避へ常識に基づく改革が必要」
「安価なマネーを利用し利益をあげてはならない」
「金融機関の整理・統合を防ぐことも重要」
と発言、商業銀行の本来の業務である企業融資などに戻るべきともとれる内容である。

ちょうど米国では大手金融機関をはじめとした10-12月期の決算発表の真っ最中であり、こうしたタイミングで規制案が発表されるのは、大手金融機関が業績回復を機に高額報酬を復活させる動きを見せていることから、「中間選挙の前に納税者の不満を代弁した」と穿った見方をしているのは筆者だけであろうか。

英フィナンシャルタイムズ(アジア版)もコラムの中で、「大衆迎合主義的で危険だ」と批判、「今回の提案は極端な方針転換であり誤りだ」と論評している。

2008年の米リーマン・ショックまでは、中国など新興国が世界の工場となる一方で、米国など先進国は金融などの規制を緩和することで成長率を維持してきた。この規制案の全てが議会を通過するわけではないと思うが、米国は製造業やサービス業を中心とした産業構造に回帰したいのではないかと思える。オバマ米大統領が掲げるグリーン・ニューディール政策など新たな産業が生まれ、米国が世界をけん引する可能性もあるが、BRICsなどの新興国の安い労働力と比べると、いくら為替を意図的にドル安に誘導したとしても、米製造業が国際競争の中で勝ち抜いていくのは容易ではないであろう。

2010年1月20日 (水)

※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。

昨日(14日)に経済紙を中心に、オバマ米大統領が大手金融機関や保険会社に資産規模に応じて課金する「金融危機責任手数料」を導入する方針を決めたとうニュースが報じられた。これは2008年9月に発生したリーマン・ショックなどの信用不安により、金融機関や自動車メーカーなどに投入された公的資金の損失を穴埋めするためのもので、資産規模が500億ドル(4兆5500億円)超の金融機関や保険会社(米企業の約35社、外資系企業の10~15社程度)に対して、今後約10年感にわたり資産規模に応じて課税するというものだが、これらの企業にとっては事実上の増税となる。オバマ米大統領は2月初旬の予算教書に盛り込んで、今夏からの実施を目指しているようだ。

この「金融危機責任手数料」導入の背景には、公的資金の投入によりバランスシートが拡大し、1兆ドルを超える米財政赤字の補てんを意図していることもあるが、公的資金の投入により破たんを免れた米大手銀行が、2009年7-9月期に軒並み好業績をあげ、高額報酬を復活させつつあることから、このところ支持率が低下してきているオバマ米政権の米中間選挙を睨んだ選挙対策の色の方が濃いのではないか。

当然、大手金融機関の首脳からは反発の声が聞こえてくる。また、公的資金を受けた自動車メーカーが対象外となることで不公平感は否めない。また、外資系銀行が対象になっていることも、今後議論を呼びそうであるが、欧州でも英国やドイツ、フランスが銀行員の一定以上の賞与に高率の税を課すことを表明(賞与ではなく基本給のアップで対抗を考えているところもあるようだが)しており、概ね世論の支持を得ていると思われる。

ウォール街(金融)とワシントン(政治)は、公的資金の投入をめぐっても温度差があり、リーマン・ブラザーズの破たんから深刻な信用不安を招いたという説もある。今後もワシントンからいろいろな規制が出されると思うが、規制がドルの信認につながるのか、資金がドルから逃げていくのかは歴史が判断することになるだろう。

2010年1月 6日 (水)

※このコラムは上田ハーローFX 週間ニュースに掲載しているものです。

2009年は回復に向けて動き出した年であると同時に、米国では黒人初となるバラク・オバマ氏が大統領に就任、日本では戦後の長期にわたり政権を担ってきた自民から民主党へ政権が交代したりと、変革の年といえるのではないだろうか。2010年はカナダのバンクーバー・オリンピック(2/12~2/28)、中国の上海万国博覧会(5/1~10/31)、南アフリカのサッカー・ワールドカップ(6/11~7/11)と大きなイベントが予定されている。また、政治面では英国の総選挙や米国の中間選挙、日本の参議院選挙などが予定されている。

こうした中で、3つほど、2010年の大胆な仮説を立ててみたい。

アフガニスタンへ3万人の増派を決めた米オバマ政権は、イランの核開発問題が進展しないことから、イランへの制裁を強化するとともに軍事的な圧力をかける。イラン内部では改革派が治安部隊と衝突を繰り返し、戦闘モードへ。イランの政情不安を背景として、原油価格が再び1バーレル=100ドルを超え、原油価格の上昇から米国がスタグフレーションに陥いる。米景気の悪化が先進国へ飛び火し、資金のホームバイアス(資金の自国への回帰)や、「有事のドル買い」などで1ドル=105円を超えるようなドル高となる。

2009年は保八(8%の成長)が達成できることが確実と思われる中国だが、かつての日本や韓国がそうであったように、上海万国博覧会を機に一部で発生しているバブルを鎮静化するために中国政府が引き締めに走る。これにより、上海総合株価指数などをはじめとした株価が急落、4兆元の大規模な景気対策の効果も追いつかず、失業率の上昇や可処分所得の低下など中国がアジアを中心とした景気を牽引できなくなる。中国に輸出を依存している豪やニュージーランドの景気が低迷し、両国通貨が大幅に売られる。また、中国が米国債の大量保有ができなくなり、経常黒字国の円が買われるようになり、1ドル=70円を割り込むような大幅な円高が進む。

参議院選挙で連立与党の民主党・社民党・国民新党が過半数を取れず、再び「ねじれ国会」へ。重要法案の審議が進まず、民主党は連立政権を解消し、自民党を含めた政界大編成へ動く。政治的な混乱から日経平均株価が大幅な下落となり、日本経済は深刻なデフレへ陥る。日銀はデフレ打破のため超低金利政策を継続、マイナス金利も持さない構えを見せ、円が再びファンディング(キャリー・トレードのために借りられ売られる)通貨となり、1ドル=110円を超えるような大幅な円安となる。

悲観的な仮説ばかりなので、こうなって欲しくないという強い思いも込めた。